吉村順三

上野の森をつっきり、芸大へとお散歩。
目指すは芸大の美術館。
外観はいつも見てるが、入るのはなんと今日がはじめて。
ゆったりとカーブを描く、スチール厚板手摺の螺旋階段が美しい。
内部も丁度いいスケール感。大きすぎて空間に展示物が食われてしまう
場合が多々あるけど、ここは丁度いい。
と思ったら、中央天井をわざわざ吊って、展示図面スペースの上だけ
低く抑えてあった。いい心がけだ。

中は若い人と、それなりに経験を積んだであろう渋い建築家風の人が
半々。いいもんだな、同じ方向を向く人と一緒の空間に入るのは。

やっぱし軽井沢の山荘に意識が集中してしまう。
他に知ってるのは八ヶ岳の音楽ホールくらい。
5、6年くらい前でしょか?夏の八ヶ岳高原ホテルに行ったのは。
佐藤浩一のホテルドラマが流行るちょっと前。
宇宙船のようなゆるやかな流れに、景色ごと運ばれていく。

軽井沢山荘もいい感じ。
今となっては先鋭的ではないにしろ、何枚もの
引き込みサッシュを全部引き込むと、窓の外と室内が繋がる。
ええ感じ。ちょっと子供の頃の木登りのノスタルジア。
鳥の巣のような感触。
ふんわか心も浮かぶ。
見ている人達も心うきうき。ちょっと幸せ。
手足があったまる展示会でした。

ここのところ、我々の世界は「アネハ蝶」が飛び回り
業界全体が揺れる、揺れる。ものすごい損失です。
やっと収まりつつあるけど、構造設計者はまだまだ呼び出し、
出しなおし、累々とある。

気がささくれ立ち、どうなってしまうんだろ?という昨今
さすがに吉村さん、我々の心を鎮めてくれました。

帰りはもう真っ暗。5時だというのに・・。
冬のはずが秋の気配の中、木々の中に沈みこんだブルーテントを
横目に見つつ、遠くなってしまった火星にお~い、と声をかけてみた、
そんな夕暮れ。ちっとも淋しくも切なくもならないのは
都会だから??

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