住宅のプランニング /自邸はRC造平屋-4

60代で家を建てる part 4

さて自分の家の住宅のプランニングの話をしよう。
プランニングと言っても私はマンションの一室を切り取って庭にポンと置いたという程度のイメージしかない。
今まで慣れ親しんできた生活様式を変えたくないのだ。
自分のマンションの一室がそのまま自宅の庭に繋がっていればいい、その程度の解釈。
でも当然思い入れが溢れてくる、どんどんどんどん溢れてくる。止まらない湧き水のように。
不思議とそこには子供の頃育った自分の土地への愛着はない。

60代で家を建てるのだから当然それまでの経験と知識は総動員しなければならない。
まず階段から始まる。当然2階はいらない。
子供は巣立って行ってしまい、後には使われることのなくなったただの物置と化した部屋があるだけ。
時々洗濯物を干しに無理して階段を上がる、などという2階は必要ない。
土地がある程度確保できるのなら当然平屋がベスト。
マンションでも基本は同じ、メゾネットタイプはよほど広くない限り嫌われる。

道路から玄関までの階段は踏面30 CM 蹴上15 CM。
これは公共施設と同じ、駅などの階段に使われている基準寸法、横には出来ればスロープが欲しい。
さて玄関に上がってくる。ここも段差はできるだけ小さくした方がいい。
でもハウスメーカーというのは厄介なもので変えることができない場合が多い。
そういえば昨今バリアフリー仕様を住宅メーカーに望んだのに肝心の玄関の上がり框が15cm以上あって
バリアフリーになっていなかった、と裁判になった例がある。
当然メーカーに賠償命令が下された。

元々玄関ホールとか廊下というのは大っ嫌いで、できれば作りたくない。
しかし奥様の意見は違った。来客があったときにどこで話すの、である。しぶしぶと受け入れる。
内部の開口、通路幅、建具幅は全て有効で80 CM は必要。
これを確保しないと将来車椅子が通過できない。
家具の搬入にも苦労する。ダイニングテーブルでも幅80cm高さ70cmある。
ハウスメーカーでは洋室の扉の寸法が70 CM しかないというのが大変多いので要注意。
多分昔の木造91cmモデュールの名残が根強く残っているからだろうか、メーターモデュールを詠っていてもそう、必ず変えてもらおう。

間取りというのは好きずき、自分が思ってるようにやればいい。既製品を買うわけじゃないのだから。
ただし全体の構成は自由に動き回れるように、ウオークスルーでストップエンドを作らないようにする。
ここに来たらもう先はない、という部屋は極力作らない。

ただし例外がある、寝室だ。
寝室に二つ以上の出入口があると落ち着いて眠れない。人間というのは動物の本能で寝ている時も常に周囲に気を配っている。
無意識のうちにバリアを張って侵入者を検知しようとする。
それが2箇所の出入り口があると2方向に防御センサーが発せられ左右両方向、煩わしくて眠れなくなってしまうので注意注意。

ストップエンドがなくなると空間は前にも後ろにも広がる。
洗面所を必要最小限に作ってしまっても、前と後ろが空いているといきなり何倍にも感じられる、使える。

さて居室の天井の高さだが分譲マンションというのは30年前から天井高2.5 M と決まっている。これ以下にすると売れない。
ところがハウスメーカーでは30年前の基準で今だに2.4 M を標準とする、というところがあるので注意注意。
できるだけ交渉して2.5 M は確保しよう、ちなみに我が家は頑張って2.47 M だった。

老人ホームなどでは転倒事故が大変多い。私の母が入居していたサービス付き高齢者住宅でも隣の人が足を取られて転び骨折したなどという事が日常的に起きた。
若い人が暮らすマンションでは考えられないことだけれども、これは十分に注意しなければならない。
場合によっては一生の影響が残る。そこで私はフローリングの下地に衝撃緩衝材を入れた。

マンションで言えば遮音床下地という表現になる 。
LL 45程度であれば十分、値段も安く遮音タイプでない下地と比べてほとんど加算がない。
多少床がぶかぶかするけどカーペットやラグよりも動きは小さく安定している。
段差ゼロなのでルンバも全く影響を受けない。

ハウスメーカーでは色々な物をつけたがる。
特に24時間換気、大げさな換気装置が大きな場所を占める。そしてそれにより天井も低くなったりする、ここはできるだけシンプルにしてもらおう。
もともとシックハウスという言葉が流行りだしてから出来た規制で、
今では接着剤も建材も進歩し基準をクリアしているのでほとんど心配はいらない。
古い形骸化した法律だけが残ってしまったと私は考える。

さて外観のデザイン、
今回、建物全体はRC造なのでできるだけシンプルに表面積が小さくなるように外観は心がける。

さらにPC 版の組み合わせなのであまり細かいことはできない。
ただ袖壁をつけて逆コの字型フレーム形状にした。
このフレームをポーチ部分にも付け足し、ダブルフレーム構造とする 。PC 版でできるのはこの程度、それでも陰影の深さ、ボリューム感が全然違う。

注意するのは両側に袖壁を出してしまうと通常は囲われた空間とみなされ建築面積に入ってしまうこと。
今回の土地は一種低層で建ぺい率が50%しかない、そこにテラスだけで15平米も取られたのではたまらない。
じっくり調べてみると建築基準法の告示にありました。有効幅が4 M 以上の空間があれば袖壁に囲われていても建築面積には入らないという規定ができていた。
これは大変助かる存分に使わせてもらった。

かくしてPC版ダブルフレーム構造の我が家が自由の空に飛び立てることになった。

外観、ポーチのフレーム

ポーチのフレームの後ろ側はカーポート。

屋根を外して上から見る、ストップエンドのないサークルプラン。

玄関ホール。3方向に行ける。長い廊下が続くマンションプランとはおさらば。

リビング。ここもぐるぐる回れる。ただしウオークスペースは完全確保。くつろぎのスペースも当然。

リビング逆方向。家具はスケッチアップの既製品から頂いたので古風だ。

キッチンから見る。玄関、ダイニング、洗面、寝室まで見える。

洗面、右奥にはアトリエに続くウオークイン。
実際にはガラスの扉ではない。

アトリエ。

 

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