建築・デザイン

吉村順三

吉村順三

上野の森をつっきり、芸大へとお散歩。目指すは芸大の美術館。外観はいつも見てるが、入るのはなんと今日がはじめて。ゆったりとカーブを描く、スチール厚板手摺の螺旋階段が美しい。内部も丁度いいスケール感。大きすぎて空間に展示物が食われてしまう場合が多々あるけど、ここは丁度いい。と思ったら、中央天井をわざわざ吊って、展示図面スペースの上だけ低く抑えてあった。いい心がけだ。中は若い人と、それなりに経験を積んだであろう渋い建築家風の人が半々。いいもんだな、同じ方向を向く人と一緒の空間に入るのは。やっぱし軽井沢の山...
構造設計偽造に怒る!

構造設計偽造に怒る!

怒る!なんちゅうこっちゃ。構造設計者が計算書偽造じゃ。マスコミはいろいろ書いてる。確かに構造設計の審査の流れはその通りだ。しかし金の流れは正しくない。通常の設計依頼では、発注者→意匠設計事務所→構造設計となるが、今回のケースでは、発注者(ディベロッパーもしくは建設会社)から中間の意匠設計事務所をすっ飛ばして、構造設計者に直接、間接の依頼があったはず。そうでなければ構造設計者がわざわざ自分の首を絞める「経済設計」なんぞするわけが無い。する理由さえ無い。意匠事務所は通常であれば、自分のお抱えのチームとし...
佐藤美紀雄先生

佐藤美紀雄先生

電話が鳴っている。黒くて重い大昔のやつだ。薄暗い部屋で、大きな電話が大きな音を立てている。横幅より天井高さの方が大きい部屋。灰色の古い事務用デスクと大きな扉が開いたままの金庫。壁一面の資料は茶色い封筒に入って整然と分類されてる。でも白い袋もあるところを見ると、茶色は先生の両切りピースから流れた煙が作り出した模様だろうか。事務所の主がもういない事は分かっている。ただ、誰か残務整理に来ているかもしれない、と思っただけだ。ベルの音はどこにかけても同じはずなのに、妙に重い。指先から重くなり、熱に変わり、やが...
進まない

進まない

机の上、積まれた資料。計画案件の資料、チェックを待つ承認図。サッシュの製作図詳細図。作りかけの模型が大きな机を占拠する。いつもの安楽ソファも送られた資料図面たちが座ってる。もう2週間休みなしじゃ。芦別に行った、それが休暇でなくてなんじゃ、と奥様は言う。でもね~、体の方はね~・・・休みが欲しい!今日も少し鉛っぽい空を見ながら、エアコンをつけて仕事、仕事。宙ぶらりんの案件達。どう進めて良いのか分からずに、情報集めの途中。皆、待っててくれ。全てを急いではいけないのだ。急いでいい類のものでない事は私が1番知...
忘れたいこと

忘れたいこと

もんのすごいスピードで企画案を作る。朝、オフィスについたら2件依頼が来てた。おんや、このところご無沙汰。企画の空白期間には、たっぷりと哀しみの鯛焼きアンコが詰まってる。こいつは消えることの無い、失意の記録だ。ぐっさりやられ、2,3日心と体が戻らなかった。どこにいて、何をしてるのか、フラフラだった。何時までも、そんな事やっとれん。切り替える。打ってつけの仕事が目の前にあった。かぶりつき、怒った犬のように、仕事の骨を振り回す。ぐいんぐいん。最速の6時間で企画案全てを終える。ちょっとふらつく。どうだ、私に...
あぶない建築

あぶない建築

相談を受けた。建設会社の作成したマンションの設計案が不安なのだという。拝見したら、12階建て、SRC造、1:6の塔状建物、かつその本体に1:12のEVと階段のシャフトが取り付いている。これだけだったら驚くことではない。が、そのシャフトの平面は2.7×6.7mなのだ!それで高さ35mまで立ち上げる!!ありえない。ねじれゆがみ転倒じゃ。そこまで行かなくても揺れてどうしようもない。当然シャフトはS造だろうけれど。手元に30cmの物差しをお持ちなら手にとってほしい。そう、その程度の断面しかない。仮に出来ると...
ルイス・カーン

ルイス・カーン

朝日新聞で見た。ルイスカーンの映画「My Architect]息子による父親探しらしい。日本でも7月に公開らしい。年をとったらこういう建築がしたい。と、若い頃生意気に思っていた。でももうその時期が来てしまった。待ってくれないよ、運命のスケジュールは。http://www.myarchitectfilm.com/...
丹下健三

丹下健三

丹下さんが亡くなった。きっとすごい反響があるんだろうな。お葬式は東京カテドラルらしい。行きたいけどきっと混む。カテドラルは大学生のときに初めて建築スケッチに行った場所。写真とは異なり、曲線の作る陰影は、当時学生だった未熟な私には手に負えなかった。光る金属体、おまけに3次元曲線では・・・。結局真っ黒になったスケッチを学校に提出したっけ。丹下さんは私が建築家になりたい!なろう!と強く決心したきっかけを作ってくれた人。当時小学校6年生、時代は東京オリンピック。北海道の田舎から出てきた少年には、天地がひっく...
江ノ島へ

江ノ島へ

仕事の調査も兼ねて、片瀬江ノ島へ、行って来た。東京から1時間ちょっと、さすがに平日、藤沢を過ぎると、もう電車はがらがら。ヘンテコリンナ駅の屋根を見ながら、目的地を目指す。なにしろ時間がない。マリンランドと海族館を通り過ぎて、現地到着。あらよっと、10分位で写真と調査を終えると、やったね、目の前は海だ!勇んでかけつける。やあ久しぶり・・・。と海にあいさつ、と、と、これって海??炭のような泥砂、風が臭う、平べったい情けない波、ああ、こりゃ海じゃない?九十九里のような荒々しさは無理としても、三浦海岸程度の...