親父の旅の終わり

朝の5時に不安を乗せた電話の音が鳴る。6時病院に駆けつける。
繭の抜け殻のようになった父の姿。
もう魂はない。天井を見渡し捜す。
隅のところに僅かに痕跡。さっきまでいたんだね。

7時には契約していた葬儀社が迎えに来る。早いものだ。
一緒に車に乗せてもらう。
外は雪、雪、雪。北海道の匂いだ。
連休の初日、私に一番ダメージの少ない日を選んでくれたみたい。
人は干潮とともに去る。
親父の亡くなったのは丁度その時間みたいだ。

さよなら。死はそんなに遠いものではないよ。

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