夢)少年の瞳に写る私
2017年11月1日
じっとこちらを見てる、瞬きもしない強い力だ。
暗いテーブルの向こうから少年は目をそらさない。
言い訳のように私は口ごもる、
諦めたくは無かった途中で投げ出すなんて自分でも予想できなかった。
目をそらさずに彼が言う、あなたは最期までやり遂げると思ってました。
あの日東京に出てきたときから。
そんなに責めないでくれ、そう言いそうになった。
少年は憧れの日の私、希望と熱意に溺れていた頃の私、
少年はある日決意して田舎から出てきた。
狭く暗い自分のからに閉じ籠るのをやめ
頼まれた偉大な仕事を成すべく砂ぼこり舞う乾いた道を駅に向かった。
そっと父親が後ろを追う、今はあの子に声をかけないでくれ、父親は見まもる私たちに釘をかさした。
彼の力が必要だった、若く才知に満ちた約束された力が。
それから20年近く経った、彼は真っ直ぐ自分の道を進んだ
支えてくれる多くの人の力を借りて。
私は苦しさに耐えきれず新しい道を選んだ。
こうして二人あの日のように見つめ合ってる。
年をとったのは私だけだった。