上野公園、観光バス公害

2,3年位前から上野公園の観光客は激増した。
パンダの赤ちゃんが生まれ、コルビジュエ設計の西洋美術館が世界遺産登録されたころからだ。
春の遠足、お花見に始まり、海外の観光客も押し寄せる。
当然地元の人の足は遠のく、代わりに轟音とともに彼らはやってきた。
そう観光バスの大群だ。
輪王殿から国立美術館、をぐるっと取り巻き私の事務所のあるマンション前もびっしりと埋め尽くす。
困るのは建物へのアプローチが出来なくなること。
宅急便からゴミの清掃車、タクシー、自宅の車庫入れ、建物の玄関前であろうと容赦なくびったし埋め尽くす。

玄関前でアイドリングし7階建てコンクリートの全体を揺らし、
建物内部の吹抜を騒音が煙突の煙のように吹き上がっていく。

あろうことかバスの乗客を他人の敷地内、玄関前で下ろし、みなさーん次は何時にここで集合です、と叫ぶガイドさん。

かくしてバス退治に乗り出す輩が現れた。彼はそれらを容赦なく、ばっさばっさと切り捨てていく。
建物前には止まるな、ここは駐停車禁止だ、アイドリングは東京都条例で禁止、乗客は建造物不法侵入だ、兎に角静かにしろと注意し悪質になると警察を呼ぶ、
その数多いときは一日に5回!
白チャリ、白バイ、パトカー、交通専門のミニパト、徒歩のお巡りさん、全部来る。
お寺街の住職も負けずに参戦し通報する。
なんせここは由緒ある寛永寺の地元なのだ。

それでも毎日毎日が鼬ごっこ。中には警告を無視するへそ曲がりもいる。
日々が憂鬱になり観光シーズンは住民の生活は破壊され、仕事も騒音と振動で邪魔まされ続けた。
なにせ相手の図体が大きすぎて箒で履いて捨てるわけにもいかない。

画像は中学校の通学路の真上、横断歩道を占拠する観光バス。
宅急便のお兄さんが怒鳴りつける、左折できないよ、もういい加減にしてくれ!
右には仕方なく横断歩道を迂回していく女性が見える。

マンションの正面玄関前を完全に塞ぐ観光バスの群れ。
頭と尻尾が繋がった恐竜のように、指定駐車場にむかって山手線のように継ぎ目なしで列を作る。

バスとの戦いに疲弊し事務所移転も視野に入れ始めた頃、7月のある日を境に、ぱったりと恐竜の群れが消えた。
そう遂に全面駐停車禁止としたのだ。
寛永寺お寺街と上野公園の住民パワーが勝ったのだ。

輪王殿から国立美術館の裏、東洋博物館のある車道は古くからコインパーキングがあった。
それがすべて撤去されてきれいさっぱり数珠繋ぎ恐竜は消えたのだ。

元の静かな静かな上野公園、仕事場、生活の場が戻ってきた。めでたしめでたし。

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