眩暈、黄泉の国から

眩暈、黄泉の国から

めまいがする。片側の耳が耳鳴りがする。低く頭の中で液体が震えるような音だ。正月休みと明けに2回立っていられなくなった。紅茶を入れて飲もうとしたら世界が回った。そのまま這うように隣の寝室に転げ込む。こうして私の年が明けた。過度のストレスと働きすぎで焼ききれたのだ。大きな病院に予約する、10日以上先だ。待ってられないので信用度の低い近所の耳鼻科に行く。突発性難聴って聞いた事あります?診察した耳鼻科の女医。原因を聞こうともせずに結果だけ見て物を言う。これは難病ですね。治らないかも、ステロイド治療になるかも...
ザ・プリンス箱根、恨み節

ザ・プリンス箱根、恨み節

12月24日クリスマスイブの日に、母と姉を連れて箱根に行く。2度目のプリンス箱根。村野さんに会いに来たという感じ。元々は今年の私の誕生会をどこでしようかと話していたとき、ふいに箱根に行きたくなった、ならば誕生日が殆ど同じ母を連れて、今までの母の旅行は全部お任せだった姉の慰労を含めて、行こう!と言う事に成った。50日くらい前の早割り特典を使い、4人で富士山ビューと芦ノ湖ビューの一番良い部屋を隣り合って2部屋予約できた。こんなこともう2度とないかもしれない。疲れた体はぴくりとも笑おうとしない。何をモチベ...
夢、洪水

夢、洪水

夢、洪水の夢を見る、最近多い。何処かのひなびた旅館にいる、大雨が降り多くの人が避難してくる。1階が水に埋まり上階へ人々は逃げ始める、屋上からは濁った泡のような水が道路から上ってくる、もう車も通れない、おまけに私を追ってくるものが居る、夕闇が迫り光が鈍い橙色に輝く、いそがなげれば逃げ場を失う。奥さまが山道の途中にゴムボートがあったという、私はかつて自分が空を飛べたことを思い出す。夕闇の崖に向かって渦巻く黒い川を下に思いきって飛び出す、ふわっと体が浮いたと思ったら凄いスピードで宙に飛び出した。ぐんぐん加...
ミッドナイトロード

ミッドナイトロード

夢、深夜にバスを降りる、仕事帰りのカバンをぶら下げて真っ暗な農道に降り立つ。月明かりしかなくすすきがぼうっと浮かんでみえる。誰も歩いていない、家の明かりもない、仕方なくとぼとぼと重い鞄を持ったまま歩き続ける。ようやく見えてきたマンションの明かり、バルコニーからは客たちと家族の楽しげな会話が夜の道に光のように落ちてくる。ああ何やってるんだろう私は。道の先を見ても我が家は遠い。−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー真っ暗闇を進む夢はぞくぞくする、若い頃から数多く見ている、困難と孤独、...
ホテルマウントフジ

ホテルマウントフジ

11月の3連休は富士山へと向かう。奥様が11月3日は雨が降ったことがない、とのたまうのでその日に決めた。ヨーシ信じましょう。2ヶ月も前に予約をいれる、富士山が窓から見える部屋はホテルマウントフジではごくわずかしかない。争奪戦なのだ。キャンセルはできても変更すべき部屋はない。かくしてハラハラしながらこの日を迎えた。結果は先週までの台風と雨に祟られた荒天とはうって変わった晴天、どこまでも透き通る富士の空気に触れられた。先週まで頭に僅かに残っていた白い雪は台風が根こそぎ吹き飛ばしてしまった、と地元の人に伺...
夢)少年の瞳に写る私

夢)少年の瞳に写る私

じっとこちらを見てる、瞬きもしない強い力だ。暗いテーブルの向こうから少年は目をそらさない。言い訳のように私は口ごもる、諦めたくは無かった途中で投げ出すなんて自分でも予想できなかった。目をそらさずに彼が言う、あなたは最期までやり遂げると思ってました。あの日東京に出てきたときから。そんなに責めないでくれ、そう言いそうになった。少年は憧れの日の私、希望と熱意に溺れていた頃の私、少年はある日決意して田舎から出てきた。狭く暗い自分のからに閉じ籠るのをやめ頼まれた偉大な仕事を成すべく砂ぼこり舞う乾いた道を駅に向...
あれから10年

あれから10年

2008年8月、不動産バブルがはじけ経済はリーマンショックで寸断され、未回収金が山となり、起こした裁判が終わり、失意の中新しい分野を開拓した。あれから10年目の秋が来た。切ない金木犀の香りと共に。2020年に向かって建築業界は気がふれた様に突っ走っている。少しは恩恵が合ったのだろうか。先月も過去最高を更新した。疲れた、飽きた、こんなこと絶対に今まで無かったけど、もう沢山とまで思った。体力が落ち、回復に時間がかかる。夜も更けてさあ終わった帰ろうと思って明日のスケジュール表をWEBで確認する。今日中にや...
旅は魂の道連れ

旅は魂の道連れ

49日も終わらない内に旅行に行く。良いのだ義父自身がそうしてきてるから何ら問題なし。毎年旅行先で奥様の誕生祝いをしてきた。今年は喪失感で気乗りしない奥様に代わりドンドン企画を進める。シーズン中は1か月前でないと予約は取れないからね。義父の喜びそうな場所、もし生きていたら今年は一緒に行こうと誘ったであろう場所をチョイス。決まったのは妙高高原の赤倉観光ホテル。何でも雲海が見られる場所だそう。でも現地に着いてからバスの運転手に聞いたら6、7月に数日だけ出現するそうな。それでもいい、仕事に終われノルマに尻を...
いざなう声

いざなう声

ここのところずっと慌しかった。義理の父親が亡くなった。私はこの人が好きだった。2年前に先に逝った義母のことも勿論大好きだった。自分の親よりも妻の両親が好きだった。人として素の自分を語りお互いを認め合う、そんな当たり前とも言えることが八王子の妻の実家では出来た。心が休んだ。疲れた体と心を少しずつ開放できた。どう、最近?。その一言で救われた。その義父が亡くなった。義父が入院したての頃見舞いに八王子に泊り込みで行き、義母の位牌の前で手を合わせる。途端には義母が飛び出してきて義父を呼んでいる。「あんた、こっ...